装飾音符

装飾音符とは、固定したデュレーションを持たず、素早く演奏することを意図された音符です。装飾音符は標準の音符の縮小版であり、通常は符尾にスラッシュを伴って表示されます。

符尾にスラッシュが付いた装飾音符は、アチャカトゥーラまたは短前打音と呼ばれ、多くの場合は非常に速く演奏されます。符尾にスラッシュの付かない装飾音符は、アポジャトゥーラまたは長前打音と呼ばれ、多くの場合は短前打音よりゆっくり演奏されます。バロック音楽においては、アポジャトゥーラは多くの場合、現在の拍子と適用される符頭の音価に基づく特定のデュレーションの間持続させるものと解されます。そのため Dorico Pro では、スラッシュが付いた装飾音符と付いていない装飾音符は再生時に区別して処理されます。

装飾音符は、それが適用される符頭 (すぐ右にある符頭) の直前の時間に収めるよう意図されているため、リズム上の時間を占めることはありません。

符頭の前には複数の装飾音符が付く場合もあります。同じ符頭に 2 つ以上の装飾音符が付いており、8 分音符や 16 分音符のような符尾が付く音価の場合、自動的に連桁で連結されます。

1. 音符の前の複数の装飾音符

Dorico Pro では、装飾音符は初期設定では標準の符頭の 3/5 のサイズに縮小されますが、これは音符のスペーシングの設定に影響されます。装飾音符のスペーシングについては、専用に個別のオプションが用意されています。

装飾音符には、標準の音符と同じ手順でスラーやアーティキュレーションなどの記譜記号を追加でき、入力後に移調もできます。