オーディオの -0.1% のプルダウン (NTSC)
NTSC に変換されたフィルムプロジェクトでは、同期を保つためにオーディオの速度を下げる必要があります。
フィルムの変換中、オーディオにジェネレーションロスと速度の変化が生じます。そのため、NTSC ビデオ形式に変換するフィルムプロジェクトでは、ほとんどのオーディオエンジニアがフィルム撮影時のオリジナルテープを使用することを好みます。
Nuendo でオーディオの再生速度を下げるには、外部サンプルクロックソースを使用してクロック速度を 0.1% 下げる必要があります。
この作業を適切に行なうには、ワードクロック、VST System Link、またはそれ以外のクロック方式で、オーディオカードを外部同期に設定してクロックデバイスに接続する必要があります。また、Nuendo で、外部クロックソースとの同期を指定する必要があります。この操作は、「スタジオ設定 (Studio Setup)」ダイアログで行ないます。
Nuendo ではビデオとオーディオの再生速度は独立しているため、オーディオは速度が下がり (プルダウン)、ビデオは同じ速度のままです。これにより、プロダクションオーディオとフィルムの変換の同期が維持されます。
編集済みビデオに準拠したオリジナルのソーステープのオーディオが含まれる OMF、AES 31、または OpenTL ファイルを受け取るか、そうでない場合はソーステープを自分自身で Nuendo に録音する必要があります。いずれの場合も、Nuendo では、オーディオは映像に対して編集され、サンプリングレートをプルダウンしない限りビデオと同期は維持されません。
Nuendo が標準サンプリングレート (47.952 kHz = 48 kHz のプルダウン) 以外で動作している場合、外部装置から Nuendo へのデジタル変換は、外部装置をオーディオカードと同じサンプルクロックにロックして行なう必要があります。ほとんどのデバイスはサンプリングレートの 0.1% の変更が可能で、正常に動作します。
サンプルクロックをプルダウンして Nuendo から書き出したオーディオミックスダウンは、他のアプリケーションおよびデバイスでは再生速度が速くなります。これは、そのサンプルクロックが標準の 48 kHz で動作するためです。
フィルムプロジェクトのオーディオミックスが完了したら、最終的なフィルムへの再変換のために再びビデオをフィルムの速度に上げ、そのあと、オーディオミックスを標準の 48 kHz サンプリングレート (プルダウンなし) で再生し、映像との同期を維持できます。
この方法を使用すると、フィルム撮影時のオリジナルのオーディオ録音の品質が保たれ、ジェネレーションロスやサンプリングレートの変換なしに、フィルム速度でのデジタルミックスダウン変換が可能になります。