Mystic

Mystic は 3 基の並列したコームフィルター (フィードバック付) を搭載した VST インストゥルメントです。コームフィルターとは周波数特性の中に多くのノッチ (切れ込んだ谷のような部分) があるフィルターを指し、基準のノッチ (最も周波数の低いところにできたノッチ) とその倍音上で生成されるノッチを含んでいます。

コームフィルターが作り出すサウンドの典型的な例は、フランジャーやディレイを非常に短いディレイタイムで使用したときに発生する音です。このとき、フィードバック値 (ディレイやフランジャーで信号をエフェクトに戻す量) を増やすと共振音が発生します。Mystic は基本的にこのようなサウンドを生成します。この音源方式は、弦を優しく爪弾く音から奇妙な非高調波音色まで、広範囲なサウンドを生み出すことができます。

基本的な使用方法は以下のとおりです。

  • 音作りはインパルスと呼ばれる、通常、非常に短いディケイを持つ特殊な音情報から始めます。

    インパルスのスペクトラムは最終的な音色に大きな影響を及ぼします。

  • インパルスは 3 基のコームフィルターへパラレルに送られます。各コームフィルターにフィードバックループがあります。

    つまり各フィルターの出力がフィルターへ再度送り返されます。これが共振するフィードバック音になります。

  • 信号がコームフィルターへフィードバックされるとき、信号は独立した可変ローパスフィルターを経由します。

    これは実際の機材で発生する高い周波数の減衰作用に相当します。カットオフ周波数を低めに設定すると、弦楽器やギターを鳴らしたときのように、高い倍音が低い倍音よりも早く減衰します。

  • フィードバック信号のレベルはフィードバックコントロールで調整されます。

    これにより、フィードバック音のディケイが決定されます。負の値に設定すると、片一方が開いていて、もう片方がふさがれている筒の中を行きかう進行波をシミュレートできます。この効果はうつろな感じの矩形波のようになり、ピッチは 1 オクターブ下がります。

  • ディチューンコントロールは 3 基のコームフィルターの基本周波数をオフセットします。コーラス的なサウンドや、特殊なエフェクトなどが求められる場合に使用します。

一般的なシンセパラメーターもあります。2 基の LFO と 4 基のエンベロープとエフェクトなどを搭載しています。

  • エンベロープ 2 はデフォルトで、インパルスのレベルをコントロールするよう設定されています。弦楽器サウンド等をエミュレートするとき、短いインパルスディケイを設定するのにご使用ください。

1. 機能ダイアグラム