MatrixEncoder/Decoder の使い方
手順
- サラウンドミックスを、おおまかでも希望どおりのスピーカー配置にセットアップします。
VST MultiPanner を使用して、サラウンドミックスでチャンネルを配置するか、または、チャンネルを 1 つずつ、LRCS の各出力に割り当てます。
- MatrixEncoder を VST Master Effects に読み込み、これをオンにします。
これで、サラウンドミックスはエンコードされ、ステレオミックスとなり、通常のステレオプレイバック装置で再生したときのように聞こえるようになります。MatrixEncoder のコントロールパネルで、Lt/Rt の出力ゲインを、フェーダーを使って調整できます。
- MatrixDecoder を、VST Master Effects に読み込み、これをオンにします。コントロールパネルを開き、「Steering Mode」ボタンをクリックします。
これでステレオミックスが、プロロジック対応の再生システムで、サラウンドチャンネルで再生されている状態と同じになります。
「Steering」ディスプレイには、サラウンドフィールドに「x」が表示されます。この「x」の位置は、ミックスの「定位のおもに支配する方向」を示します (=dominance vector: ドミナンスベクトル)。適用されるプロセッシングの中には、支配的なチャンネルの方向に「エンハンス」され (つまり、ステレオの 2 次元的な方向が、3 次元的に拡大されます)、非支配的なチャンネル方向については、「ゲインの低下」という結果をもたらす場合もあります。
- MatrixDecoder の「Bypass」ボタンのオン/オフを切り替えると、デコードしたサラウンドミックスとエンコードしたステレオミックスを比較できます。必要ならば MixConsole でも調整を行ないます。
目標は、エンコードバージョン、デコードバージョン、どちらの場合でも「音のいいミックス」を作ることにあります。エンコード、あるいはデコードしたミックスを、もとのサラウンドミックスと比較する場合は、MatrixEncoder と MatrixDecoder の両方を、オフにしておく必要があります。
重要エンコーディング、またはデコーディングプロセスでは、未処理ミックスと比較した場合、相当な信号/情報のロスが発生するでしょう。しかしながら、これはそれでも正常な動作であり、不具合ではありません。とはいえ、ミックスを慎重に調整することにより、信号/情報のロスを最小限に、「満足できるレベル」に大幅に近づけることができます。レベルやその他の設定は、信号が MatrixEncoder を通る前に、つまり、エンコーダーやデコーダーがミックスを直接コントロールできないうちに、調整しておく必要があります。
- 満足できる結果が得られたら、MatrixDecoder の「Bypass」をオンにします。あるいは、Master Effects のスロットから MatrixDecoder を削除します。
- レコーディングデバイスをステレオミックスの出力に接続して、ミックスダウンを行ないます。
結果
結果、得られるエンコード済みのステレオミックスは、プロロジック対応のホームステレオシステムによって、サラウンド再生が可能となります。