Dolby Atmos ミックスの設定
Dolby Atmos ミックスを作成するには、レンダラーが必要であり、プロジェクトのオーディオトラックをベッドやオブジェクトとして定義する必要があります。
通常、新しい Dolby Atmos プロジェクトを開始する際は、グループトラックとしてベッドを作成することをおすすめします。まず、元トラックとして使用するトラックを、このグループトラックにルーティングします。この信号のルーティングは、「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウでベッドとオブジェクトを定義すると自動的に修正されます。
オブジェクト構造内のすべてのオーディオオブジェクト (ベッドやオブジェクト) には、オーディオ信号をそのオブジェクトに送信する元トラックが必要です。プロジェクト内のすべてのオーディオトラック、グループトラック、またはインストゥルメントトラックをオーディオオブジェクトの元トラックとして使用できます。トラックを元トラックとして選択すると、そのトラックの VST MultiPanner チャンネルパンナーがオブジェクトモードに切り替わり、そのトラックのオーディオ信号がベッドからレンダラーに自動的に再ルーティングされます。
レンダラーに関しては、内蔵の Renderer for Dolby Atmos プラグインを使用することも、システムを外部 Dolby Atmos Renderer に接続することもできます。
内蔵レンダラー
内蔵の Renderer for Dolby Atmos プラグインを使用する場合、「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウでベッドとオブジェクトの元トラックを選択すると、オーディオがサイドチェーンを経由して自動的にレンダラープラグインにルーティングされます。
Renderer for Dolby Atmos プラグインを使用する場合、以下のルールが適用されます。
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通常、このプラグインは Main Mix 出力チャンネルに挿入します。このプラグインは、2.0、5.1、5.1.4、7.1、7.1.4 の出力チャンネル構成をサポートしています。
補足Main Mix チャンネルのソロ無効機能をオンにすることをおすすめします。これにより、プロジェクトでチャンネルをソロにしたときにメインミックスを意図せずミュートしてしまうことを回避できます。
Control Room をオンにした場合は、Renderer for Dolby Atmos を「Main」セクションで Insert プラグインとして使用することもできます。ただし、この場合、Renderer for Dolby Atmos を使用して、「オーディオミックスダウン書き出し (Export Audio Mixdown)」ダイアログから Dolby Atmos ミックスのチャンネルベースのダウンミックスを書き出すことはできません。
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Renderer for Dolby Atmos プラグインを使用するには、プロジェクト内にマルチチャンネル出力バスが必要です。ステレオメインミックスを使用する場合は、追加のマルチチャンネル出力バスを少なくとも 1 つ追加して、VST MultiPanner をチャンネルパンナーとして使用できるようにする必要があります。
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このプラグインは、プロジェクト内で 1 つのみ使用できます。
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オーディオシステムの ASIO バッファーサイズを 512 サンプルに設定し、サンプリングレートを 48 kHz に設定する必要があります。
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このプラグインは、2.0、3.0、5.0、5.1、7.0、7.1、7.0.2、7.1.2 のベッドチャンネル構成をサポートしています。
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「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウでベッドやオブジェクトを定義すると、オブジェクト ID が自動的に割り当てられます。
「Dolby Atmos 用設定アシスタント (Setup Assistant for Dolby Atmos)」ダイアログを使用すると、Dolby Atmos® の仕様に完全に準拠したプロジェクトを設定できます。
外部レンダラー
Dolby Atmos Production Suite、Dolby Atmos Mastering Suite、Cinema RMU (Dolby のレンダリング/マスタリングユニット) などの外部 Dolby Atmos Renderer を使用するには、まずオブジェクトバスを作成する必要があります。Nuendo では、オブジェクトバスはデバイスポートに接続された出力バスであり、オブジェクト ID にマッピングされます。マッピングは「外部 Dolby Atmos Renderer の設定 (External Dolby Atmos Renderer Setup)」ダイアログで行ないます。オブジェクトを追加する際は「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウの「オブジェクトバスを自動接続する (Auto-Connect Object Busses)」オプションを使用することをおすすめします。これにより、オブジェクトバスが自動的に作成されます。