Dolby Atmos プロジェクトを手動で設定する
この例では、音楽とエフェクト用にチャンネルベースの 7.1.2 ベッド、会話用に 4 つのモノラルオブジェクトを含む Dolby Atmos プロジェクトを手動で設定する方法を示します。Renderer for Dolby Atmos プラグインをレンダラーとして使用します。
また、「Dolby Atmos 用設定アシスタント (Setup Assistant for Dolby Atmos)」を使用して、Dolby Atmos® の仕様に完全に準拠したプロジェクトを設定することもできます。
前提
-
新規プロジェクトを作成しておきます。
-
オーディオシステムの ASIO バッファーサイズを 512 サンプルに設定し、サンプリングレートを 48 kHz に設定しておきます。
手順
-
「オーディオコネクション (Audio Connections)」ウィンドウの「出力 (Outputs)」タブで、スピーカー設定に一致するチャンネル構成の出力バスをメインミックスとして追加します。
補足
Renderer for Dolby Atmos プラグインは、2.0、5.1、7.1、5.1.4、7.1.4 の出力チャンネル構成をサポートしています。
- メインミックスチャンネルで、Insert プラグインとして Renderer for Dolby Atmos を追加します。
- 「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウで、「レンダラー (Renderer)」ポップアップメニューから Renderer for Dolby Atmos プラグインを選択します。
-
メインミックスチャンネルで、[Alt/Opt] を押しながら「ソロ (Solo)」をクリックしてソロ無効機能をオンにします。これにより、プロジェクトでチャンネルをソロにしたときにメインミックスを意図せずミュートしてしまうことを回避できます。
-
プロジェクトウィンドウで、7.1.2 チャンネル構成の「ベッド (Bed)」という名前のグループトラックを追加し、そのトラックをメインミックスの出力バスにルーティングします。
このグループは Dolby Atmos プロジェクトでベッドとして機能します。
- ベッドオーディオとして使用する音楽またはエフェクトを含むすべてのトラックを「ベッド (Bed)」グループトラックにルーティングします。
- 4 つのモノラルオーディオトラックを「DIA 1」から「DIA 4」という名前でプロジェクトに追加し、それらを「ベッド (Bed)」グループトラックにルーティングします。
-
「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウで「ベッドを追加 (Add Bed)」をクリックします。
オーディオオブジェクトのリストにベッドが追加されます。
-
このベッドの「元トラック (Source Track)」として「ベッド (Bed)」を選択します。
これで、Dolby Atmos プロジェクトのオブジェクト構造内にベッドが確立されました。このベッドの信号は、サイドチェーンを経由して Renderer for Dolby Atmos プラグインに自動的にルーティングされます。
補足4 つのモノラルトラック、メインミックスチャンネル、ベッドチャンネルのすべてがチャンネルパンナーとして VST MultiPanner を使用していることを確認します。
- プロジェクトで、オーディオトラック「DIA 1」から「DIA 4」を選択します。
-
「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウで、「機能 (Functions)」ポップアップメニューから「選択したトラックからオブジェクトを作成 (Create Objects from Selected Tracks)」を選択します。
オーディオオブジェクトのリストに 4 つのオブジェクトが追加され、対応する元トラックに自動的に接続されます。
結果
サンプルの Dolby Atmos プロジェクトのオブジェクト構造が、「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウに以下のように表示されます。
-
「ベッド (Bed)」グループトラックにルーティングされたすべてのオーディオトラックが 7.1.2 ベッドのプリミックスとして機能します。
-
モノラルトラック「DIA 1」から「DIA 4」は、オブジェクトモードでチャンネルパンナーとして VST MultiPanner を使用するオブジェクトになりました。
-
オブジェクト構造、ベッド、およびオブジェクト内のすべての項目が自動的にオブジェクト ID を受け取りました。
-
再生時には、Renderer for Dolby Atmos プラグインの出力信号を聴くことができます。
-
すべてのオブジェクトオーディオのパンオートメーションがダイナミックメタデータとしてレンダラーに渡されます。
手順終了後の項目
音楽、エフェクト、会話のトラック、およびオブジェクトの元トラックにオーディオイベントを追加し、パンニングに VST MultiPanner を使用して Dolby Atmos ミックスを作成します。
ミックスが終了したら、「Dolby Atmos 用 ADM オーサリング (ADM Authoring for Dolby Atmos)」ウィンドウの「ADM ファイルをエクスポート (Export ADM File)」をクリックして、オブジェクト構造全体とすべてのパンニングオートメーションがダイナミックメタデータとして含まれる ADM Broadcast Wave ファイルとしてそのミックスを書き出すことができます。